2011年3月30日水曜日

正真正銘

厄介書類が再燃。今回は、限界を超える程、厄介な状況にまで拡大する可能性が出てきた。それだけは絶対に避けなければならない。初期消火について緊急の話し合い。知らなかったことにしよう、、、という作戦に。

5月の土壌動物学会で、本研究室の学生が1名、本研究室の学生として初めて学会発表を行う。ぼちぼち講演要旨を書かないとマズい。ということで、とりあえずデータを解析したみたら、ナカナカ面白い結果。もう少しデータが増えて欲しいところだが、このままでもどうにかなるだろう。

自分の講演要旨は全く手つかずのまま放置して、Cubarisにとりかかる。論文自体は、日本産の種がとある種のシノニムでは?という単純な内容なんだけど、そもそも、Cubaris属自体が怪しいという問題があるので、属の特徴についてもキチッと説明しておく必要がある。文献の整理が終わった頃には15時を過ぎてた、、、。

でも、おかげで概要は掴めた気がする。あとは実際に文章にしてから色々と修正した方が早いだろう。

頭部の様々なパーツ

一通り図は完成したのだが、いくつか追加する必要が出てきた。

そうこうしているうちに、富山の布村先生から、お願いしていた荷物が届いた。箱を開けると標本が数本入っている。


この瓶の中には、Cubaris iriomotensisという種の標本が1個体ずつ入っているのだが、、、実はこれ、とっても大事な標本。とくに重要なのは左の瓶で、「Holotype」という文字が読める。では、Holotype(ホロタイプ)って何?

新種は普通、「これまでに報告されていない形態をもっているので、これは新種ですよ!」として発表される。その形態の証拠となるのが、このHolotypeで、現在では、新種を発表する際には、必ず1標本を指定しなければならない。つまり、これこそが正真正銘のCubaris iriomotensisなのである。まさに、世界に一つだけのキューバリス・イリオモテンシス。

そして、このHolotypeは普通、博物館などで「永久に」保管される。もし、紛失してしまったら、種の基準が分からなくなってしまうので、、、。最近は、博物館がエンターテイメント化してきているけど(学芸員さんの意向ではなく、社会の風潮?)、博物館の本当の、そして、最大の意義は、このような標本の管理であることを忘れてはいけない。多くの博物館では、人材もお金も足りなくて、標本の管理がままならないそうだ。

ちなみに右の「Allotype(アロタイプ)」は、ホロタイプと別の性の標本が指定されたもの。本種のHolotypeは雄なので、Allotypeの瓶には雌が入っている。