2011年7月4日月曜日

歩脚器

学生実験に関連して勉強したことをメモ。前々から気になってたので整理。

歩脚の節の名前が、動物群によって異なる。この違いが、発生学的に異なるのか、単純に研究分野ごとの習慣なのかは不明。


動物群ごとに異なるのは良いとして、coxaとbasisの日本語訳が複雑なので注意。生物学事典(岩波書店)によると、「coxaは底節」となっているが、「昆虫では基節と呼ぶこともある」とされている。

(上図に合わせた)英語表記だと、体側から
ダニ:coxa-trochanter-femur-genu-tibia-tarsus-pretarsus
クモ・ザトウムシ:coxa-trochanter-femur-patella-tibia-metatarsus-tarsus-claws
ワラジムシ:coxa-basis-ischium-merus-carpus-propodus-dactyl

となる。ダニについては、日本産ダニ類図鑑(江原,1980)と日本産土壌動物(青木,1999)ともに「coxa=基節」としており、これで問題ないのだろう。

厄介なのはワラジムシ。動物系統分類学7上(内田,1964)では「coxa=基節、basis=底節」と訳されており、日本産土壌動物(青木,1999)でもそれを踏襲している。一方、2008年に出版された、節足動物の多様性と系統(石川,2008)では「coxa=底節、basis=基節」と訳されている。

優秀な研究者であれば、これらの単語の統一を図るのだろうけど、私は、、、諦める。そもそも日本語で記載をしなければ問題ない。もし、日本語で記載をする場合は、参照文献を引用をするか、もしくは、基節(coxa)といった表記にしておいた方が良いだろう。また、種によっては特殊な形態を持つこともあるので注意。