授業、書類書きで午前中が終了。午後、大学院生+3年生と統計の勉強、本読みゼミ、標本整理を少しして、授業の準備で終了。
湿地帯中毒: 身近な魚の自然史研究 (フィールドの生物学)
一昨年、特別セミナーで講演をして頂いた中島さんの著書。
講演のとき、データ量がすごいな、と思ったけど、やはりすごい人だった。
学生時代のカマツカの研究とその後のシマドジョウの研究が中心だが、このシリーズ定番の面白ネタも満載の一冊。
いわゆる放任主義の研究室で、よく言えば自ら考え行動をする、悪く言えば無鉄砲な行動は、きっと良い刺激を与えてくれるだろう。大雨の川底の魚を知りたくて濁流に入って死にそうになったとか、、、。
しかし、その卒論、修論での自らの調査結果から様々な仮説を提唱し、博士課程で解決していく姿は理想的の学生生活だと思った。
カマツカの研究での大きな成果は、本種が普通種である理由を解明したことである。本種は、水温の利用幅が広く、砂底があれば生息できることが解明されたのだが、このような環境が人為的な改変によって多くなり、結果、本種は現在の普通種となったと考えている。
つまり、現在の普通種とは、人の撹乱した環境にたまたま適した種なんだと、筆者は指摘する。外来種として成功する種も同じようなことだろう。
シマドジョウの厄介な種分類の研究、淡水魚と並行して行っている水生昆虫の研究など、読みどころが多い。
中学時代に黒魔術にはまった話や(妖怪に興味があるとは聞いていたが)、川で魚採りをしている際、小学生に恋愛相談されたことなど、声を出して笑ってしまった。
本はさらっと読めてしまうが、データを冷静に眺めていると、サンプルの多さや調査の丁寧さなど、その大変さが伝わってくる。
ぜひ、一度は読んでほしい一冊です。
もくじ
1.研究のはじまり
2.カマツカの自然史
3.ドゼウ狂
4.湿地帯に沈むまで