2011年9月26日月曜日

不味い

カエル論文に没頭。さすがに飽きてしまったので、先日、メーリグリストで流れてきた論文に惹かれてみたり。

Tasty but protected — first evidence of chemical defense in oribatid mites
Heethoff et al. (2011) Journal of Chemical Ecolofy, 37: 1037-1043

ちゃんとは読んでないけど、動画がとても面白かった。

私の研究対象の一つであるササラダニ。英語でarmored mite(鎧を着たダニ)、なんて呼ばれたりするように、屈強な体を持っている。このおかげで捕食されにくいと考えられていれる。

一方で、この鎧を来て着ていない種類もまた存在する。このような種類はバクバクと食べられてしまうのだろうか。筆者達は、この鎧を着ていないダニの一種が、体内に化学分泌液を保持していることを見つけた。で、これが何か防衛に関わっているのでは?と。

実験は単純で、とても美しい。まず、このダニをヘキサンに浸けることで、ダニを殺さずに体内の化学物質を除去してしまう。これで、化学物質を持たないダニと普通の化学物質を持つダニが準備できた。そして、これらを捕食者に出会わせると、、、というもの。

捕食者としては、Stemus属のハネカクシを使用している。この属は日本に分布しているみたい。

実験模様が動画で公開されているけど、面白い。

0:00-0:43 普通の状態(化学物質があるダニ)の実験
0:44-1:15 化学物質を除去したダニの実験
1:15- トビムシ(化学物質をもたない)を対象とした対象対照実験
という構成になっている。

1mm以下の動物の世界でもこんなにシビアなのか、、、と考えさせられる。一度は観る価値あり。とくに、化学物質に触れてしまった後、「う〜まずい」って感じに口を掃除するとこはカワイイ(0:34から)。


ササラダニの行動研究はまだまだ色々とやれそう。

一応、怪しげな日本語訳を。間違いがあった教えて頂けると助かります。

0:00-:Stenis Spp.-Archegozetes longisetosu (filled oil glands):Stenis属のハネカクシ複数種とArchegozetes longisetosusというササラダニ(化学物質がある)が登場します!
0:03-:Mites:ダニ(ここではササラダニのこと)
0:04-:Attack using mandibles, followed by immediate release and escape:(ハネカクシが)大顎による攻撃を仕掛けるが,すぐに(ダニを)捨て逃げ出す
0:06-:Attack using labium, release of pray:下唇による攻撃を仕掛けるが、ダニを捨ててしまう
0:11-:Mite caught at prosoma:ダニの前体部をかじる
0:16-:and released after touching glandular region:しかし、(化学物質の)分泌腺に触れたら(ダニを)捨ててしまう
0:18-:Hysterosoma remains intact:(分泌腺のある)胴体部は無傷のまま残される
0:21-:Immediate release of the mite after contact with glandular region:分泌腺に触れた場合は、すぐにダニを捨てる
0:28-:Temporary disorientation and cleaning of mouthparts on plaster of Paris:一時的に発狂状態になり、その後、培地に口をこすって掃除を始める
0:34-:Intense cleaning of mouthparts after contact with glandular region:分泌腺に触れた部分を念入りに掃除する

0:43-:Stenis Spp.-Archegozetes longisetosu (enptied oil glands):Stenis属のハネカクシ複数種とArchegozetes longisetosusというササラダニ(化学物質がない)が登場します!
0:47-:Attack with mandibles, followed by motionless feeding:(ハネカクシが)大顎で(ダニ)攻撃した後、そのまま食べ始める
0:54-:Hysterosoma not avoided:胴体部も食べられる
0:59:Cuticular remnants:表皮だけが残った
1:02-:Attack with labium, followed by feeding:下唇による攻撃の後、そのまま食べ始める
1:08:No change in behavior when feeding on hysterosoma:胴体部を食べてもとくに変化はない

1:15:Feeding on Collembola:トビムシを食べる!
1:20:Attack with labium, followed by motionless feeding:下唇による攻撃の後、そのまま食べ始める