2011年9月21日水曜日

熱帯でほ乳類

Burmoniscus論文にはまる。半日悩んでしまった。悩みずぎたので、途中、紀要用解剖原稿に手を出してみたり。共同研究者からのメールで、悩みが解消。

昨日、ダンゴムシの性の論文を読んだので、何となく、これからの進化生態学、をパラパラ読み返してたら、75ページの図5.8のオカダンゴムシの雌雄が逆では?と。出版社に連絡したら、やはり間違いだそうです。(白黒写真だけど)左の模様のある方がメスで、右の黒い方がオス。先日の例もあったので、あえて逆の写真を載せてるのかと思ったけど。


これからの進化生態学 —生態学と進化学の融合—

面白い、フィールドの生物学シリーズ。熱帯でほ乳類の研究をされている松林さん著。東工大の出身で、現在は、マレーシアで大学教員をされているらしい。スゴい。


熱帯アジア動物記—フィールド野生動物学入門 (フィールドの生物学)

著者は大学院時代にほ乳類の研究を始めたのだが、当時、研究室内には、ほ乳類の研究をしている人がおらず、自ら現地に入り交渉を続けたそうだ。最初、マメジカという小さなシカの研究をするだが、ナカナカ捕まえることができない、、、実は、手伝ってくれた現地スタッフが、密猟者で、先回りして捕獲していたそうだ。他にも、熱帯の森林内での24時間追跡調査とか、苦労話の連続で、それでも研究を続ける情熱に感服するばかり。

勉強になったのが、塩場。そもそも、しおば、という言葉すら聞いたことがなかった。湧水や土壌中にミネラル類を含んだ環境の総称で、動物がミネラルのバランスを整えるために利用することがあるのだとか。もちろん、動物の中にはヒトも含まれているわけだが、これまで、どのような動物が塩場を利用しているのかは良く分かっていなかった。そこで、著者が自動撮影カメラを用いた調査を進め、多様な動物が利用していることを解明している。

この結果をもとに、保護区を設置する際には、塩場の位置も考慮されるようになってきたそうだ。

このシリーズの特徴でもあるフィールド研究の苦労話、データがなかなか増えない、肉体的にしんどいetc、熱帯のほ乳類研究は最たるものだと思った。

これを読むと、自分が苦労している、と思うのが恥ずかしくなり、真面目に研究ができるようになる一冊。