明日は後期の佳境で、授業×3がある。ということで、今日は、ほぼその準備で終わった。
授業のネタ探しで見つけた本。
糖尿病とウジ虫治療――マゴットセラピーとは何か (岩波科学ライブラリー)
ウジ虫を使った治療のことをマゴットセラピーと呼ぶ。マゴットとはウジ虫のことで、、、ウジ虫って?、あのウジ虫、、、ハエの幼虫のこと。
ハエなんて汚い虫を使った治療なんて、どこかの部族の話でしょ、と思ってはいけない。足を切断しなければならないほど重傷の患者を治せた例も多々あるらしい。
では、どのような病気を治せるのか。それは壊疽と呼ばれる体が腐敗してしまう病気で、とくに、糖尿病の合併症である足の壊疽の治療に利用されている。
この壊疽を治療するには、壊疽組織を除くこと、細菌感染を制御すること、肉芽組織(新しい体組織)をつくること、が大事で、壊疽の患部にウジ虫を放つと、これを全てこなしてくれる。
人が外科的にこの壊疽組織を取り除くと、間違って正常な組織まで取り除く可能性があるが、ウジ虫は、負の走光性で壊疽組織に侵入するが、深くに入り過ぎると呼吸ができなくなるので、丁度、壊疽組織だけを食べてくれるのだとか。
ただ、前2者は、ウジ虫にとっても利点があるので理解できるが、最後のウジ虫が壊疽組織を食べると肉芽組織が作られるのは、ちょっと不思議。
ウジ虫が出す酵素が役に立っていることが分かってきているのだが、不思議なのは、ナゼ、ウジ虫がヒトの肉芽組織を作る酵素を出すのか、ということ。ヒト(動物)が生きてくれるおかげで、ウジ虫は壊疽組織に出会える、と著者が想像しているが、、、どうでしょうか。
マゴットセラピーの紹介番組がYou Tobeにあったので、興味がある方はこちらを(気持ち悪くないです)。
そもそも、こんな治療法がどうして思いついたのだろうか。数千年前、すでにアボリジニ族やマヤ族が傷の治療のウジ虫を使っていたらしい。また、ナポレオンの従軍医ドミニク・ラレーもまた、ウジ虫が傷の治癒を促進している、と報告しているのだとか。
しかし、近代的な医学に持ち込んだのは、ウイリアム・ベア医師であった。彼は、第一次世界大戦において、7日間野外に放置された開放骨折(骨が見えてる状態)でもあるにも関わらず、感染症を発症していない兵士を不思議に思った。
そこで、兵士の衣服をとると傷口にウジ虫が群れていた。そこで、急いでウジ虫を取り除く、、、傷口が綺麗。ここから全てが始まった。
ウジ虫を治療に利用することがナカナカ受け入れられなかったことは、容易に想像できる。でも、それでも研究を続けたヒトがいるから、現在、この治療法で病気を治るヒトがいるんだなと思うと、ヒトってすげーなと思う。
1.ウジ虫が私たりの傷を治す
2.発見と道のり
3.日本の先駆者
4.昆虫のなかで最も進化したハエ
5.現在のマゴットセラピー
6.なぜ傷が治るのか
7.共に生きる
4章は昆虫の勉強としても役に立つ。苦労話の割合がやや多い気がするけど、色々な研究がキットどこかで役に立つかも、と思える一冊。勉強って役に立つの?とか、役に立つ研究って何?とか、モヤモヤしている人は是非。
シークエンス結果とか、英文校閲が返却されて、やりたくてウジウジしているが、今日は手つかずのまま終了。