年末になり自由な時間が増えるはずだったのだが、仕事の依頼は減ったが、その代わりに放置業務が色々と見つかり、結局、その処理に追われ、普段よりもバタバタした日々を送っている。
会議×2に参加、紛失しそうな感じで放置されている論文の自炊、卒論の中間発表で終了。中間発表は学生の頭の中では整理されている感じで、少し安心した。
色々と放置されている机の上を整理していると発見された本。メモしていないようなのでメモ。
サボり上手な動物たち――海の中から新発見! (岩波科学ライブラリー)
今、注目を浴びている研究、バイオロギングの本。
バイオロギングとは何か?
一応、私も生物の研究をしているのだが、対象とする生物を理解するために人は、その生物を良く観察する。観察には、野外でひたすら待ったり、飼育したり、しばしば解剖することもある。
しかし、バイオロギングでは、動物にカメラやGPS、加速度計などを付けることで、動物の視野や動きを測定する。つまり、動物そのものの活動をデータとして計測する。
この本では、海鳥、イルカ、ペンギン、アザラシと海に住む動物が対象となっているのだが、海に住む動物は陸に住む動物以上に観察が難しいので、このような方法がとくに重要になったのだろう。
研究成果から、それぞれの動物の新しい一面が紹介されており、研究に興味がなくても動物が好きな人なら楽しめるのではないだろうか。
バイオロギングは動物がどのような行動しているのか調べることが当初の目的だったのだが、タイトルから分かるように、実は、動物が動いていない、ことが判明したことが重要な成果であり、このような発見は、仮説検証実験ばかりに目を向けていてはできない。調べる、ことの難しさと面白さを感じれる一冊。
目次。
1.実は見えない海の中
2.他者に依存する海鳥ー動物カメラで調べる
3.盗み聞きするイルカー音で調べる
4.らせん状に沈むアザラシー加速度で調べる
5.野生動物はサボりの達人だった!
類似本。
バイオロギング―最新科学で解明する動物生態学 (WAKUWAKUときめきサイエンスシリーズ)
こちらの方が、内容は詳しい。やはり対象は海の動物が多いが、ネコや人でもやってますよ、という記述もある。バイオロギングを研究している研究室の紹介や研究機器の開発の歴史も非常に興味深い。これらの機器、そして、そのデータを使いこなすには、工学や数学の知識も必要であり、ブレイクスルーを起こす人は、このように複数の分野に詳しい人なのだろう。
目次。
1.バイオロギング入門
2.ウミガメ
3.海の哺乳類
4.魚類
5.鳥類
6.バイオロギングでこんなことまで!