2014年1月15日水曜日

名古屋議定書

連休の最大の目的は、日本分類学会連合の総会とその後のシンポジウムに参加することだった。

シンポジウムでは、生物多様性条約、とくに、2010年に名古屋で採択された名古屋議定書が分類学に及ぼす影響について、生物の研究者と法律の専門家の発表があった。

内容をかなり噛み砕いて書くと、生物多様性条約には、生物遺伝子資源から得られる利益を公平に分配しよう、という重要な概念がある。

例えば、先進国の研究者が、熱帯で採取した微生物から新しい薬を作り、お金もうした場合、その微生物の生息地である国にも儲けを分配しましょう、というもの。

この考えは1993年の生物多様性条約が締結された時点からあったのだが、名古屋議定書では、利用国(上記の先進国の立場)はこれらをきちんと守っているか監視するシステムを構築する、ことが求められた。

で、利益には学術的利益も含まれるため、分類学者達は、海外から標本を入手すると面倒なことになるのでは、と不安になった。ということで、一度、専門家の人達の考えを聞きましょうとなった、、、のだろう。

私なりの理解だけど、(私もそうだけど)分類の研究者は多少誤解をして、無駄に不安がっていたみたい。

核心だけ言えば、名古屋議定書が求めているのは、提供国(大半は熱帯付近の途上国)は、利用国側がどのようにすれば良いのか明確な法律を作り(作らなくても良い?)、利用国はそれをきちんと守っているのか監視をする、ことらしい。つまり、採集地の国の法律をきちんと守れ、と。

これは今でも当たり前である。ただ、提供国側が厳しい法律を作ると研究が滞る可能性があるので、そうならないように、日本から積極的に働きかけることも大事だと述べていた。

とくに、名古屋議定書第8条には、上記の法律を制定する際には、生物多様性研究の促進や非商業的目的の場合を考慮するように書かれているので、これを引用し、生物多様性研究が滞らないような法律を策定するように働きかけることの重要性を説いていた。

とても勉強になった。有名人も沢山観られた。

会場は、上野公園にある国立科学博物館。恐竜展の真最中で特別展の入口はスゴい混んでいたけど、


会議とシンポは、展示しているところの隣りの棟?で行われ、閑散とした職員口から入場した。


大学院生に初めてのPCRと電気泳動を教える。成功率はボチボチ。あとは、卒論関係の原稿読みで終了。こちらはかなりマズい状況。