土、日、月、と日本昆虫学会に参加。初めての参加だったけど、質、量ともに、とても良かった。
大御所から学部生、そして、小中高校生のポスター発表と色々な発表があり、とても勉強になり刺激をもらった。
初日
外来種防除の実践に携わる五箇さんは、化学的防除の重要性を指摘されていたが非常に説得力があり、その重要性を再確認させられた。
生物のコントーロールに化学薬品の使用について嫌悪感を抱く人が多いが、重要なのはその量であり、適切に使用することで安価に効果を得やすいことを指摘されていた。化学薬品絶対悪!、とならず、柔軟に考えられる思考力を育てる教育が重要だなと痛感した。やはり、感情的にならず、科学的論理的な思考は大事だ。
横須賀市博物館の内舩さんのスズメバチの研究もとても考えさせられた。スズメバチによる咬傷が多いので、その防除のための基礎研究としてトラップについて調べたのだが、トッラプの穴が大きいとオオスズメバチの女王を捕獲してしまうので、小さくしたと、、、。
なぜ?と思っていたが、オオスズメバチによる咬傷例は少ない一方で、咬傷例の多いスズメバチを捕食するため、それらは残したいのだとか(他にカブトやクワガタなども捕獲してしまう)。このように対象種以外の昆虫を捕獲しない研究が多々あり、貴重種や有用種をあまり含まない土壌動物の研究をしているとあまり気にしないので、とても刺激的だった。
2日目
長崎大の大庭さんは、絶滅危惧に指定されているコガタノゲンゴロウが増えている要因を調べ、温暖化が影響している可能性を指摘していた。絶滅危惧に指定されている動物が増える例という面白いテーマであるとともに、学校のプールも調査対象としていることが興味深かった。同じ教育学部に所属している者として、とても参考になった。
大学院時代に所属していた名古屋大の研究室から、キクイムシの共同穿孔の発見に関する発表があった。まだ、解明しないといけない点が多くありそうだが、大発見につながりそうな予感をさせる興味深い発表だった。
3日目。
東大の久保田さんによるMaxentを用いたルリクワガタの分布解析は、自分のやりたい研究に近くとても参考になった。潜在的分布域を実際の分布域の関係から物理的要因、生物的要因などを議論する方法は、多分、そのまま使うと思う、、、。
昆虫分類学若手懇談会シンポジウムの3題はとても勉強になった。How toだったというのも知れないが、30分間、ずっと惹きつけ続ける講演者のプレゼンテーション力にびびった。
PCによるお絵描き、幾何学的形態測定学、筋肉の観察と機能シュミレーション、とどれもそのまま自分の研究に応用できるものばかり。様々なソフトを駆使していたが、どれもフリーもしくは安価なものであり、兵庫県博の橋本さんが、「皆は良い時代に生まれた」とおっしゃていたが、道具を使いこなせていない自分が恥ずかしくなった。
書ききれないほど勉強になる面白い発表が沢山あった。そして、久しぶりに色々な人とも会え、とても楽しい時間を過ごせた。
ただ、惜しかったのは、参加できるか不明だったので、発表の申し込みができなかったこと。来年からは発表したいと思った、、、が、4会場で同時に発表しており、次々に聴衆者が移動するので、気合を入れて準備をしないとガラガラになりそうで、少し怖いなとも思った。