2023年12月4日月曜日

なぜオスとメスは違うのか―性淘汰の科学

午前
・授業
・授業準備

午後
・DNA抽出
・会議
・研究室片付け
なぜオスとメスは違うのか―性淘汰の科学
原題は「Sexual Selection: A Very Short Introduction」であり、正に、性選択を簡潔にまとめて紹介している本である。

教科書ではなく小説のような書き方なので、勉強のためと気張らずに気軽読める。監訳者まえがきにも「動物の行動や進化に興味のあるあらゆる人たちに教科書ではなく読み物として読んで頂きたい。」と書かれている。様々な動物が取り挙げられており、繁殖行動の研究の面白さを実感できるはずだ。

一方で、筆者自身が最後の章で「動物の性行動は一般に信じられているよりもはるかに多様なものである。」と述べているように、性選択に関連する説はいくつもあるため、全く知識のない人が読んでスッキリするのかは分からない。

この点は、(いわゆる)教科書のように無味乾燥に理論を簡潔にまとめられた方が好きな性格と、本書のように流れるような文章で書かれた読み物を好む性格の違いに依存するような気がする。私自身は教科書的な勉強で個々の知識を得た後に、このような面白い本をお話しとして読むと知識が整理されて理解が進む、、、ことが分かった。

性選択に全く知識がない人は、最低限の単語や各説の原理を理解するために、新版動物の社会(伊藤嘉昭, 2006)の3章を読んでから読むのも良いかなと思った。

最初に読むか、後で読むか、それはアナタ次第な本。動物の行動に興味があるなら外せない一冊。

目次
第1章:ダーウィンのもう1つの大きなアイデア
第2章:配偶システム—相手の数と期間
第3章:メスの選り好み
第4章:性の役割とステレオタイプ
第5章:交尾後性淘汰
第6章:性的対立
第7章:種の存続と性淘汰
第8章:結論と今後の展望