2018年6月11日月曜日

性の進化史: いまヒトの染色体で何が起きているのか

飛行機は飛びそうだ。

たまたま見つけた本。


性の進化史: いまヒトの染色体で何が起きているのか

生命史における性の進化に関する書籍を期待したが、サブタイトルにあるようにヒトの性の進化、とくにY染色体の進化がメイン。

当初の期待とは違ったが、とても勉強になった。

ヒトの性は性染色体の組み合わせで決まり、X染色体を2つ持つとメス(XX型)、Y染色体とX染色体を持つとオス(XY型)になる。

中学生?でも習う内容であるが、このオスにおけるX染色体が1本しかない、という現実は、数多くの遺伝子疾患と関係している。

染色体数に関連するいくつかの症状についても記述があり、ヒトでもこのようなことがあるのかと驚かされた。

もちろん、タイトルにあるように、脊椎動物におけるY染色体の進化についての記述も多いが、やはり病気の記述に興味がいってしまった。

最後に、iPS細胞やゲノム編集技術にもふれ、これら染色体異常に伴う症状と再生医療について議論されている。

これら問題は、非常に難しい倫理的側面を含んでおり、あとがきに書かれているように「一般市民を巻き込んだ、自由かつ活発な社会的議論に成熟させていくことが望まれる」と思った。

この本を書くきっかけが、大学生の染色体における理解不足にあるように、普段、生物に親しんでいない人が、一気にこの本を読むのが難しいかも知れない。

しかし、最強の不妊治療のツールにもなり得る一方で、人工生命を作り出す可能性のある、生殖細胞へのゲノム編集の是非は、研究者だけで決定すべき問題ではないと思う。

一般の人がこの点について、自らの考えを持つためには、中学生でこの内容を扱わなければならないのか、、、。