つまらないデスクワークの一日。途中、会議にも参加した。
しかし、あまりにもつまらないので、報文用の写真撮影をする。綺麗に撮れないな。
某所で初めて見つかったCubaris murina。99.5%エタノール保管標本。
フィールドの生物学シリーズが色々と出版されていたのだが見落としていた。
植物をたくみに操る虫たち: 虫こぶ形成昆虫の魅力
植物の葉を見ていると、異形の構造物を見つけることがある。あれは、虫こぶとかゴールと呼ばれるもので、昆虫やダニの何らかの作用によって作り出されている。
虫こぶは幼虫の住処である。そこに住む幼虫は、餌に適した植物細胞を食べることができ、さらには、外部からの攻撃からも守られる。
筆者は、この虫こぶを作り出す昆虫の分類、生態、進化を研究している。
エゲノキを利用するオトシブミの発生時期と利用する葉の関係、シロダモを利用するタマバエの空間分布(樹冠部vs下枝)の地理的変異、ランやバラなどの栽培植物を利用するタマバエ、イネを利用するヨコバイなどなど、著者が携わった様々な研究が紹介されている。
各研究の目的、そして、その学術的な意義・興味が簡潔かつ明瞭に説明されているため、分野外の私でも研究結果を理解しやすかった。
元々は、高校時代に調べていたカゲロウで卒業研究をするつもりだったが、指導教員の湯川先生の助言で虫こぶを作る昆虫の研究をすることになったそうだ。テーマを与える、という、指導者としての力の重要性を考えさせられた。
2章を使って大学教員としての生活を綴っており、とても参考になった。とくに、明確なビジョンをもって研究室を運営されている姿勢を見て、ただ反省をしてしまった。
学振や台湾の公募で受けた理不尽な扱いを良い経験として進む姿勢は、社会を生きて行く上で大事な力だなと思った。
また、いくつかの訃報についても触れておられ、いつか私も同じような経験をするときが来るんだろうなと思うと、日々を大事に過ごさなければと、またまた反省した。
いつものことながらおススメの一冊。
もくじ
1.なんとなく生物部
2.運命のたより
3.未知への挑戦
4.虫こぶの世界へ
5.謎の生活史と種分化のメカニズム
6.植物をたくみに操る
7.新たな地平へ
8.虹色の研究室
9.ゴールからのスタート