2022年12月9日金曜日

青木淳一先生

午前
・授業準備
・授業

午後
・データ整理
・講習
・授業準備

日本の土壌動物学における最大の貢献者の一人であり、また、世界的なササラダニ類の研究者でもある青木淳一先生が11月11日にご逝去された。

大学2年生のとき偶然、青木先生の講義を聞き、土壌動物、ダニに興味を持ったことがキッカケで研究者の道をすすむことになった。

昆虫少年ではなかった私がこのような道に進むとは、少なくとも大学1年生までは考えられなかった。

それほどまでに、衝撃的な出会い(授業)だったと言える。

4年間、同じ大学にいたが、学部が違っていたため、指導教員-学生、の関係になったことはない。

修士課程の時、沖縄で見つけたササラダニの線画を描き学会で発表した際に、青木先生から「新種の発表をしてみない」と声をかけて頂いたのをきっかけに、共同研究を行うことになった。

自宅に読んで頂き、奥さんと一緒に食事をしたことは本当に凄い体験だったと、今更ながら思う。

このとき、青木先生の文献を先生と一緒にコンビニでコピーさせて頂いたことが、青木先生の人柄を表しているように思う。

当時から、ほぼ伝説化しているような先生であったが、学生に対して気さくに声をかけ、質問に対しては優しく何でも答えてくれた。

また、自宅で聴かせて頂いた学生自体のエピソード、例えば、「コピー機がないから、図書館に行ったら文献を書き写さなければならない。それをやっていたらドイツ語を覚えた」とサラッと述べていたが、コピペばかりしている現在では考えられないことだ。

知の巨人の誕生には、やはり、努力があったことは間違い。この機会に我が身を振り返るとしよう。

色々なことを教えて頂いた先生方が少しずつ少なくなっていく。とても辛いことであるが、私自身が、さらに若い世代へ、何かを伝えなければならない歳になってきたのだろう。

ササラダニの研究は(ほぼ)やめてしまったが、土壌動物学の発展に少しでも貢献することで、青木先生へ恩返しをしていきたい。

青木先生との共著論文:

Aoki J. Karasawa S. (2007)
A New Species of the Genus Fenestrella (Acari: Oribatida) from Okinawa, Japan
Journal of the Acarological Society of Japan, 16: 5–9

Karasawa S., Aoki J. (2004)
Oribatid mites (Acari: Oribatida) found in a littoral environment in the Ryukyu Islands, Japan
Phytophaga, 14: 223–27

Karasawa S., Aoki J. (2005)
Oribatid mites (Arachnida: Acari: Oribatida) from the marine littoral of the Ryukyu archipelago, southwestern Japan
Species Diversity, 10: 209–23

Karasawa S., Nagata S, Aoki S, Yahata K, Honda M. (2015)
Phylogeographic Study of Whip Scorpions (Chelicerata: Arachnida: Thelyphonida) in Japan and Taiwan
Zoological Science, 32: 352–63

青木先生に献名したした種

Symbioribates aokii Karasawa & Behan-Pelletier, 2007