2011年7月22日金曜日

増えると

たまにヒノキ林調査の準備を入れつつ、Burmoniscus論文に没頭。とりあえず版が完成。英語はかなり無茶苦茶で、流れが決まったという程度。ここからが本当に苦労する。また、ホロタイプの状態が悪く、観察できない形質があるので、この扱いも難しい。

何か忘れているな〜と思ってたけど、気づいてしまった。明日、免許状更新講習サポートだった。また、朝8:00から大学に。先週はすっぽかした受付手伝いもしなければ。


生きもの異変 温暖化の足音

先日、大学の本屋でたまたま見つけた本。タイトルが面白そうだったので買ってみた。

どうやら産經新聞に掲載された記事のまとめらしい。タイトルの通り、地球温暖化に伴う色々な生物相の変化を紹介している。

新聞記事なので、当然、引用はない。本格的な研究成果もあれば、最近は変わったよね〜、という感じの記事もある。少し期待はずれだった。

でも、勉強になった記事もいくつかあった。とくに興味深かったのは、地球温暖化で海洋生態系の生態系ピラミッドが変化し、大型魚が減る、という記事。水産総合研究センターの研究らしい。

生態系ピラミッドという言葉は、高校生物で習うのだが、生産者、一次消費者、二次消費者、、という、いわゆる食物連鎖を量で表したもの。


生態系ピラミッドで大事なことは、上の段階は下よりも「かなり」量が減ってしまう、こと。呼吸などでエネルギーを消費するので。

現在の日本近海の生態系ピラミッドは4段になっているそうで、その頂上に私たちが食べるマグロとかブリなどの大型魚がいる。地球温暖化が進むと、海水の(上下の)循環が無くなり、そうすると、現在の生産者である大きめの植物プランクトンは維持できなくなり、その代わりに、小型の植物プランクトンが生産者になるそうだ。

そして、生産者が小さくなったので、今はあまりいない、小さな植物プランクトンを食べる小さな動物プンクトンが一次消費者として新しく生態系ピラミッドに加わることになる。それ以降は、現在と同じ。つまり、食物連鎖が1段増えて、5段になる。生産者の量は、光エネルギーと有機物量で決定するので、現在と同じ、、、結局、1段分ロスが増え、頂点の大型魚は減少するらしい。大雑把な計算だと10分の1になるのだとか。

なかなか複雑。

生態系は複雑で、まだ、研究者が完全には理解できておらず、風が拭けば桶屋が儲かる的な間接経路が沢山ある。また、多少の環境変化であれば耐えることができる。これをキチンと理解することが大切だと思った。地球温暖化にしても、外来種にしても、今はあまり影響がないような気がしていても、気づいたときには手遅れになるのかも知れない。影響が完璧に分からないのであれば、何もしない、のが生態系保全で重要なことだと思う。